不正咬合の害について
不正咬合は生命にかかわる病気ではありませんが、そのままですと見た目の悪さだけでなく、その種類や状態によって色々な問題がおきてきます。子供の頃はあまり不自由を感じませんが、大人になって身体の抵抗力が衰えて来ると、長い間の無理がたたり歯や歯ぐきが急速にだめになったり、歯並びやかみ合わせが更に悪くなったりします。
1.悪い歯並びは、虫歯や歯周病になりやすい
悪い歯並びは、歯磨きがしにくく、歯の汚れが原因である虫歯や歯周病が非常に起こりやすくなっています。ですから、口臭の原因にもなることが多いのです。
2.悪い歯並びは顎関節症になりやすい
最近、顎関節症の急増が報告されています。柔らかい食べ物や、かみ合わせの悪さのため、子供の頃から顎の筋肉や関節を十分に使っていないので、顎関節が弱くなっているのです。あなたは、口が開かなくなったり、顎の痛み、音などはありませんか?
3.悪い歯並びは顔の変形を起こしやすい
不正咬合は顔面の成長にも悪影響をおよぼします。子供の頃は気にならないわずかな受け口や出っ歯でも、成長するにつれて不正咬合の顔面に対する変形は大きくなります。あなたの身近な人に、顎の長い三日月顔の人、出っ歯で笑うと歯ぐきの目立つ人、口元を緊張させないと唇が閉じられない人、顔が曲がっているような人はいませんか?
4.悪い歯並びは成長発育や健康に悪影響をおよぼす
良くかめない状態が長く続けば、顎や口腔周辺の発育や筋力が弱まり、顎の骨も細くなって本来の成長発育が阻害されることも考えられます。また消化吸収の第一段階である口の働きが低下すれば、消化器系への負担が大きくなり、ひいては全身に間接的な影響が及ぶでしょう。
5.悪い歯並びは歯科治療を難しくする
不正咬合の人はちょっとした治療でも大工事になることがあります。例えば、歯がひどく重なり合ってはえていて、そのうちの一本がだめになった場合、一本だけの処置ではすまなくて、その周りの何本かも処置しなければかみ合わせがうまくいかないというようなケースもあるからです。また歯周病も不正咬合の人ほどなりやすく、治療したとしても歯磨きが行いにくいため、その後の経過が思わしくないことが多いのです。
6.悪い歯並びは発音を悪くする
あなたは発音しづらい音はないですか?テレビや映画に出てくる俳優で極端な出っ歯、受け口、開咬の人はいないはずです。きれいな発音をするためには前歯のかみ合わせ、舌の動きが重要な意味を持っています。不正咬合の人は、サ行、タ行、英語ではS、Tの発音に問題のでる傾向があります。
7.悪い歯並びは社会生活に影響する
不正咬合は顔貌にも影響を与えます。もしそのために本人にコンプレックスがあるとすれば、社会的な活動の上でマイナスになることはあっても、プラスになることは決してありません。日本では昔から人と話しているときや笑ったときに、口元に手を持っていくことが控えめな女性のしぐさの一つとして受け取られていました。しかし現在ではこのしぐさをする人の大半は、歯や口元の形、口臭などに不安があるために、それを隠そうとして無意識のうちに手をもっていってしまうのではないでしょうか?
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